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【PCAで学ぶ公益法人会計】 第3回:財務諸表の構造を理解しよう~その2

「基本財産」と「特定資産」

前回取り上げた、「基本財産」と「特定資産」はどちらも固定資産ですが、この2つには「1年ルール」が適用されませんから、普通預金や定期預金として保有する資産であっても流動資産にはなりませんのでご注意ください。
では具体的にどのようなものがそれらに該当するのでしょうか?

ノーベル財団の基本財産

基本財産は法人の基本的骨格というべきものであって、定款で定めなければなりません。また理事会の承認を得ない限り基本財産を処分することはできず、(組み入れや処分については理事会での承認が必要)私が関わったケースでは預貯金・有価証券・不動産などで保有している法人が多く見受けられました。
世界的に有名なスウェーデンのノーベル財団は2009年時点で約370億円の基本財産があったそうです。ノーベル氏の遺産を財団の基本財産に充当し、様々な有価証券や金融商品で運用され、ノーベル賞の運営費はこの基本財産から発生する運用益と世界中から寄せられる寄付金でまかなっているようです。
一方、図書館や美術館などが、不動産や美術品を基本財産としているケースもありますが、いずれも公益法人が主たる目的である公益事業を行うために、必要不可欠なものであるということで基本財産に設定しています。

特定資産の特定とは?

基本財産とは異なり、特定資産は定款で定める必要はありませんが、特定の目的のために保有する資産が該当することとなり、取扱要領で以下の項目を定めることが望ましいとされています。

  • 使用目的
  • 積立の方法
  • 目的取崩の要件
  • 目的外取崩の要件
  • 運用方法
  • その他

公益認定申請時において、特定資産として取り扱うことができるかどうかが、財務基準の判定に影響を及ぼすケースがありますが、積み立てる目的が定かではないために、特定資産とは認められないケースを何度か目撃しました。
特定資産の設定は取扱要領を定めた上で行ってください。