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【PCAで学ぶ公益法人会計】 第11回:指定正味財産がわかれば公益法人会計はカンタン!~その1

指定正味財産

公益法人会計の特徴は「指定正味財産」にあると言えます。
「指定正味財産」の考え方さえ整理できれば、公益法人会計は決してい難しいものではありません。
財務諸表の構造をご説明した回でも「指定正味財産」については触れましたが、重要なポイントになりますので更に掘り下げて確認して行きたいと思います。

寄付者の意思を尊重する受託者責任

公益事業を行うことが主たる目的である公益法人にとって、寄付を受ける行為はとても重要です。そして多くの公益法人では寄付金を財源とした公益事業が営まれています。
この重要な寄付について、公益法人会計基準では受託者責任(寄付を受け取った法人が持つべき責任)を明確にするために「指定正味財産」という考え方を導入しました。
ここでのポイントは寄付を行った人(または法人)の意思です。寄付の使いみちや管理方法などについて、寄付者の希望や考えがある場合、寄付を受けた法人はその希望や考えを最大限に尊重しなければなりません。したがって法人が自分の意思で自由に管理できる「一般正味財産」と、寄付者の意思を尊重し管理する「指定正味財産」を明確に分離し表示することが求められることとなりました。
例えば、日常の運転資金を管理している普通預金と、寄付者の意思がある寄付金を受け入れた普通預金では明確に分離して表示する必要があるということです。運転資金は「一般正味財産である普通預金」ということになりますし、寄付金を受け入れた普通預金は「指定正味財産である普通預金」という表示をしなければなりません。もともとそのお金(資産)がどこから来たものなのか、明確にしなさいと言っているわけです。
一般企業の会計では、お金(資産)がどこから来たということに関係なく、普通預金口座に入っていれば普通預金と表示するだけですが、公益法人会計では寄付者の意思がある寄付については、指定正味財産として最後まで色分けしておきます。ただし、寄付者が制約をつけずに寄付を行った場合(どうぞご自由にお使いくださいといった寄付を行った場合)は法人は一般正味財産として取り扱うことができます。