公益法人会計コラム

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【第5回】 現場の負担を減らすための「地に足のついた3つの準備」

2026-03-24

  • 令和7年施行基準

本記事は、令和7年施行の公益法人会計に基づいて情報発信をしています。

公益法人の皆様、日々の業務本当にお疲れ様です。株式会社シンクキューブの中川です。
第1回から「総論」として、今回の制度改正の全体像をお話ししてきましたが、今回で一つの区切りとなります。今回は、「制度改正を機に組織改革を!」といった少しハードルの高い理想論から離れて、私たちの足元を見つめ直してみたいと思います。
これからの具体的な対応に向けて、現場の担当者様が無理なく、そして慌てずに進めていくための「地に足のついた3つの準備」を一緒に確認していきましょう。

1. 「すべてが変わる」わけではない。まずは「影響する部分」と「変わらない部分」を仕分ける

大きな制度改正の分厚い資料を目の前にすると、「今の業務フローを根本から見直さなければ…」とため息をつきたくなるかもしれません。でも、ご安心ください。実務の大部分は「今まで通り」で回るはずです。

  • 分厚い資料を最初から読み込まない: ルールを完璧に理解しようとする必要はありません。まずは「うちの法人の日々の業務の中で、どこに影響しそうか?」という視点だけで情報を拾い読みしましょう。
  • 「やらなくていいこと」を決める: 「帳簿のつけ方は少し変わるけれど、稟議の回し方はこれまで通りでいい」といったように、「変わらない部分」を早めに見つけることが、実務の精神的な負担を大きく下げるコツです。

2. 対応には「1年近くかかる」ことも。ゴールから逆算してスケジュールを引く

制度改正への対応は、法人の規模や状況によっては、準備から実際の運用開始までに1年近くの長丁場になることも決して珍しくありません。 だからこそ、焦らず長期戦の構えを持つことが重要です。

  • 「待ち時間」を計算に入れる: 例えば「〇月の理事会で新しい基準に沿った承認をもらう」というゴールがあれば、「その〇週間前には資料を完成させる」「さらにその前にはシステム改修を終える」といった逆算ができます。
  • スケジュールにはたっぷりの「余白」を: 役員の皆様への説明や、外部の専門家(会計士や税理士)、システム会社とのやり取りには想定以上の時間がかかります。短距離走のように一気に終わらせようとせず、相手の待ち時間も含めたゆとりのあるスケジュールを引いておくことが最大の防衛策になります。

3. 「一人で抱え込まない」― 経理担当者を孤独にしない空気づくり

これまで様々な法人様を支援する中で、責任感のあまり新しい制度への対応を一人で背負い込み、苦しんでしまう経理担当者の方を数多く見てきました。真面目な方ほど「自分が完璧に理解してから、みんなに説明しなければ」と思い詰めてしまいがちです。

  • 「未完成」の段階で周囲にSOSを出す: 制度改正は法人の課題であり、担当者個人のテストではありません。「まだ全容はわからないのですが、今度ルールが変わるので、少し手伝ってもらうかもしれません」と、早い段階で周囲に”匂わせ”をしておきましょう。
  • 理事や専門家を「審査員」から「味方」に変える: 完璧な資料を作ってから理事や監事、顧問税理士にチェックしてもらうのではなく、「ここがよく分からなくて困っているのですが、一緒に考えてもらえませんか?」と初期段階で相談を持ちかけてみてください。周りを巻き込み、チーム全体で取り組む空気をつくってしまうことが、実は一番の近道です。

中川の脱線コラム:1年がかりのマラソンを走り切るために

制度改正の対応は、言ってみればフルマラソンのようなものです。最初から全力疾走してしまうと、本番の運用が始まる前に息切れしてしまいます。 一人で抱え込んでしまいそうなときは、まずは誰かを誘ってコーヒーでも飲みながら、「今回の改正、なんだかややこしそうですよね」と愚痴をこぼすところから始めてみませんか? 実は、そんな何気ない雑談の中から「じゃあ、システム会社に早めに声だけかけておきましょうか」といった、次の一歩が見えてくることも多いものです。完璧を目指さず、まずは深呼吸。これが一番大切かもしれません。

新しい制度は、公益法人の皆様が事業活動を
拡大するチャンスでもあります。

私たちシンクキューブは、皆様がこの変化をスムーズに乗り越えられるよう、
システムの面から全力でサポートさせていただきます。

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