公益法人会計コラム
【第1回】令和7年施行公益法人会計~新制度のポイント~
2026-03-05
- 令和7年施行基準
本記事は、令和7年施行の公益法人会計に基づいて情報発信をしています。
公益法人の皆様、日々の業務お疲れ様です。株式会社シンクキューブの中川です。
今、公益法人の世界では、平成20年の制度改革以来となる「大きな変化」の時を迎えています。ニュースや研修会などで「新制度」という言葉を耳にされる機会も増えてきたのではないでしょうか。
「また新しいルールを覚えなきゃいけないの?」と、少し身構えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。でも、ご安心ください。今回の改正は、皆様の公益事業活動の自由度が高まる改革となりました。
今回は第1回として、新制度が目指している全体像と、私たちが早めに準備をしておきたい理由についてお話しさせていただきます。
1. なぜ今、制度が変わるのでしょうか?

現行の制度が始まってから15年以上が経過しました。その間、社会情勢は大きく変わり、公益法人に求められる役割もさらに多様になっています。
これまでのルールでは、「単年度で収支をトントンにしなければならない」「使わないお金を貯めすぎてはいけない」といった厳しい縛りがありました。そのため、「将来のために資金を蓄えたいけれど、ルールが気になって難しい」と悩まれる法人の声も多く聞かれました。
今回の改正は、そうした「法人の足かせ」を外し、社会の変化に合わせてより柔軟に事業を展開できるようにすることを目的としています。
2. 新制度の「3つの柱」
新制度の内容は、大きく分けて次の3つの柱で構成されています。これらはバラバラのものではなく、相互に連携して皆様の活動を支える仕組みになっています。
【柔軟性】財務規律のルールが使いやすく!
これまでの「その年に使い切る(収支相償)」というルールが、「数年間のスパンでバランスが取れていればOK(中期的収支均衡)」という考え方に変わります。 さらに、将来の大規模な修繕や新しいプロジェクトのために、あらかじめ目的を決めて余剰金をプールしておける「公益充実資金」という制度も新設されました。この資金は当期の「利益(剰余)」としてカウントされないため、計画的に将来への備えができるようになります。

【機動性】事務手続きがスピーディに!
これまでは、事業内容の変更などの際、行政庁の事前認定が必要なケースが多くありました。新制度では、公益性に大きな影響を与えない範囲の変更であれば、事前の審査を待たずに「事後の届出」だけで済む範囲が大きく広がります。「良いアイデアをすぐに実行に移したい」という法人のスピード感を、制度が邪魔することはありません。

【透明性】しっかり見せて信頼アップ!
お金の使い方や手続きの自由度が増す分、「自分たちで適切に管理し、社会に対して説明する責任(ガバナンス)」がこれまで以上に大切になります。役員要件の整備や、財務状況を誰もが把握できる形(活動別分類など)での開示が求められるようになります。これは、会計システム等での「見える化」がより重要になるという側面も持ち合わせています。

3. 会計実務への影響:経過措置があっても、早めの準備が安心です
制度の変更に合わせて、会計ルールも「令和6年公益法人会計基準」へと新しくなりました。新しい財務諸表の作成や、純資産の区分の変更、活動別(機能別)分類への対応など、実務担当の皆様にとっては、少し掘り下げた内容への変更になります。
新基準への移行には、令和10年(2028年)3月31日まで「3年間の経過措置(準備期間)」が用意されています。そのため、当面はこれまでの基準で処理を続けることも可能です。
ただ、「まだ時間があるから大丈夫」と先送りにしてしまうのは、少し心配です。いざ移行を始めようとしたときには、想像以上に多くの作業が必要になるからです。
過去データの「読み替え」という大きな壁
新基準では純資産の区分が大きく変わるため、これまでの積立金や基金を新しいルールで精査し、組み替える作業が発生します。これは決算直前に慌ててできる作業ではありません。

システムの入れ替えとテスト運用の期間
新しい基準に対応した「PCA公益法人会計クラウド」などのシステムを選定し、データを移行し、これまでの数字とズレがないかを確認する期間を考えると、余裕を持ったスケジュールが必要になります。

「令和10年問題」による混雑の回避
期限ギリギリになると、多くの法人が一斉に移行を始めるため、サポートが混み合うことが予想されます。十分な支援を受けられないまま新基準へ突入してしまう事態は避けたいところです。

早めに準備に着手しておくことは、余裕を持って新しいルールに慣れるだけでなく、「新制度のメリットをいち早く経営に活かせるようになる」という大きなメリットにもつながります。
次回、第2回は、新制度でぐっと自由度が増す「お金の持ち方・貯め方」について、
さらにお話しさせていただきます。
新しい制度は、公益法人の皆様が事業活動を
拡大するチャンスでもあります。
私たちシンクキューブは、皆様がこの変化をスムーズに乗り越えられるよう、
システムの面から全力でサポートさせていただきます。
新制度への移行に向けた「システム相談」を随時承っておりますので、
どうぞお気軽にご相談ください。